巻頭言より

    

  俳句と囲碁(二)            上迫和海

 

 「定石を覚えて二目弱くなり」という格言が、囲碁にある。実際、定石を覚えたら勝てなくなった話をたまに聞く。その理由は、定石に潜んでいる棋理(囲碁における真理)を学ばず、その形や手順のみを鵜呑みにするからである。

 俳句にも、定石と呼べるような物事がある。「季重なりを避ける」「切字を一句に二つ以上使わない」「形容詞を多用しない」などである。これらは句作の上でのアドバイスであって、ルールではない。

 本当のことを言えば、囲碁でも俳句でも、定石を覚えるのが上達の早道なのである。ただ、アドバイスに縛られて、実戦のおのおのの場面における判断力を鈍らせることが、問題なのである。定石を覚えて二目弱くならないようにするのも、前に進むための重要な事柄である。